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歴史編|東北大学の誕生

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東北大学の誕生

パリでの初代教授候補者たち。左から眞島利⾏(化学)、藤原松三郎(数学)、⽇下部四郎太(物理)、愛知敬⼀(物理)

1907年6⽉22⽇、仙台に帝国⼤学を設置する勅令が公布され、東北帝国⼤学の創設が決定しました。東京、京都に続く国内3番⽬の帝国⼤学の誕生です。仙台を中⼼とする⻑年の⼤学設置運動と、当時の内務⼤⾂原敬の働きかけによる⺠間からの寄附の賜物でした。

仙台に最初に開設されることになったのは東北帝国⼤学「理科⼤学」。その最初の教壇に⽴つ教授陣に選ばれたのは、20代から40代前半を中⼼とする「新しい時代」の若者たち10名でした。⼈選を任されたのは明治後期の⽇本科学界を代表する物理学者、⻑岡半太郎。選ばれた若者たちの多くは、理科⼤学が開設される 1911 年までの約4年間、当時世界の学術の中⼼地とみなされていたドイツを中⼼とする欧州へと留学し、各⼤学の視察や機器の購⼊など新⼤学のための準備を⾏いながら、世界的な研究者の⾨下⽣として修練を積んでいきました。

東北帝国⼤学開学記念絵葉書の⼀枚。 学問の⼥神・ミネルヴァの背後には松島の⾵景も描かれている。開学記念印が押印

片山正夫から眞島利行へ送られた絵葉書の数々

その欧州滞在中の彼らのやり取りの主な⼿段は絵葉書による⽂通。のちに有機化学の教鞭を執る眞島利⾏は、⾃分が受け取った絵葉書を保管し、現在は東北⼤学史料館がそのコレクションを所蔵しています。当時の彼らの活動はもちろん、欧州の街並みや世相、また彼ら個⼈個⼈のセンスも窺い知れる貴重な資料です。異国の地でも互いに刺激しあい、新たな大学について語り合ったことでしょう。

開設当時の理科大学の講堂・本館

そして、1911年、敷地・校舎・人事などまったくゼロからの出発であったため開設まで4年を要した理科大学に、31名の学生が入学し、大学としての本格的な活動が始まります。入学者には旧制高校出身者に加え専門学校・高等師範学校等の卒業生が含まれるなど、多様な人材に門戸を開いた東北大学の始まりでした。

<東北大学まなび情報誌「まなぶひと」vol.37より再編集>